根管治療にかかる費用(費用対効果)

根管治療で支払う費用は保険か自費で大きく二つに分かれます。

その二つの中でも症状の良し悪しや個人の歯の形状(個人差が大きい)によってさらにかかる金額は左右されます。

 

保険で診療した場合のおおよその目安

 

内容 治療費
保険(3割負担) 保険(1割負担)
歯科初診料(初回のみ) 700円 230円
再診料(2回目以降随時) 150円 50円
衛生士指導料(月1回) 240円 80円
根管治療  (歯一本につき)    消毒や充填の薬剤費など(治療毎) 700~1800円 230~600円
被せ物(クラウン)           土台(コア) 3000~8000円 1000~2660円
検査料や管理料など 1000~2000円 330~660円
合計 4500~10000円 1500~3300円

 

およそ歯一本あたりにかかる費用は上記のようになっております。

初診時に初診料と検査料で1500~2000円(3割負担)ほどかかります。

なので純粋に根管治療だけの費用を考えるのであれば一本の歯の治療で5000~6000円(3割)が保険治療の相場になります。

多くの場合根管治療では根っこの神経まで取り除く処置をするので、土台と被せ物が必要になります。料金の半分はこの素材の費用になります。

根管治療は最低でも3回は必要ですが、歯1本あたりの治療費は決まっているので、治療回数が増えたとしても1回あたりの治療費は薬の充填や消毒にかかる代金と再診料の数百円になります。回数が増えれば地味にお金が嵩みますが、10回通ったとしても3000円くらいの割り増しにしかならないでしょう(時給換算で600円くらいでしょうか)。

患者側からすると費用対効果は非常に高いと考えられます。

 

自費による治療(10割負担)

保険での診療と大きく異なる点は負担金額が10割になる点です。

結論から言うと、保険で治療した内容と同じものを自費で受ける場合は合計金額は30000~50000円になります。

あれ?

と思われた方。計算しましたね。

1割負担の部分を10倍したら15000~30000円くらいじゃないのか?

こう考えるのが普通です。

ところがどっこい違います。

これは国の保険制度と歯科素材の原価が関わるのですが、主な原因は原価の高騰です。

保険でかかる費用は改定を重ねて推移していますが、素材の原価に関係なく保険の価格は一律で決まっています。

つまり素材の費用が上がろうが下がろうが、保険での治療で歯科医院に払われる費用は変わらないのです。

普通の企業であれば、原料が高騰したら値上げをします(しないように企業努力はしますが)。これは止むを得ない部分です。

しかし、歯科医院では保険での診療費用は国が完全に決めているので、原料費が2倍になろうが3倍になろうが治療費用が赤字になろうが一定の金額しかもらえません。

なので、自費で治療をする場合は通常の利益がでるような価格設定になります。

一般の人に銀歯といわれる被せ物をしようとすると保険で5000~8000円ほどの値段ですが、これを自費で行うと3万円くらいになるのです。

実は安い場合の金歯(ゴールド)での治療とそんなに価格が変わらないのです(それでも1万くらいは違いますが)。

自費で良い治療をする場合の金額

自由診療で治療を受ける場合は価格は正直言って時価になります。お店が勝手に決めるわけですね。

なので絶対にこの範囲で収まるとは言い切れませんが、専門医が検査や根管治療専用の機器を使ってもらい

十分に時間をかけてもらって5~10万円といった価格になります。

もっと安い医院もあるでしょうし、遥かに高い医院もあります。

ですが、素材の価格を考えると凡そ上記の金額はかかってしまいます。

一番安いパラジウム素材を使っても2万円はかかるでしょう。

ほとんどの場合もう1万か2万円を上乗せすると金やハイブリット、ジルコニアといった素材が使えるので自費で治療を行う医院ではこちらを勧めます。

これは商売という意味合いももちろんありますが、ほとんどの歯科医師は素材の良さを理解しているので勧めます。

そもそも国の当初の計画では健康保険では金歯が適用されるはずでした。

しかし、当時の国は貧しかったので金歯にかわる銀歯(昔は水銀・アマルガムが使われていた)が代用品として保険適用の素材になったのです。

世界で一番裕福な国に一時期日本はなりましたが、医療の世界の中で歯科の立場は弱く、銀歯から金歯への移行をすることはできませんでした。

そうこうするうちに経済力が低下し、銀歯が主流は変えられないものになりました。

つまり、保険での銀歯の治療は発展途上国の最低限の内容なのです。

体内に入れる素材としては良くないわけです。

保険で治療をするのであれば、銀歯を入れるメリットは金銭面で納得できますが、自費の場合は費用対効果を考えると銀歯は考えられない選択になるのです。

自費は保険よりも遥かに高額になりますが、ようはそれだけお金をかける価値があると思えるかどうかです。